オンラインワークショップ運営方法ver1(未完成ですが、取り急ぎの知見共有)


場づくりが専門のESUNEにとって、リアルな対面でのワークショップや話し合いが制限される中、「オンラインでのワークショップ」をどう運営するか、もっと具体的に言えば、「参加者一人ひとりが自分らしく参加でき、なおかつ他者の声を受け止め、耳を傾けられる状態をどうオンラインで共につくれるか」を現在研究しています。

昨日は、今までいろいろと調べたり、場づくりの先輩のみなさんの取り組みを参照したりしながら、ESUNEの役員・事務局・学生インターン・会員の有志18名でオンラインワークショップを実践してみました。

未完成ですが、「こうすることでオンラインワークショップの運営、いい場づくりは実現できるのではないか」の発見が見つかりましたので、一旦、私たちの気づきを共有します。
私たちも引き続き、実践と研究を重ねていきますが、ぜひみなさんの現場の場づくりでも実践・研究・知見化を進めてもらえると幸いです。

※ここではZoomでの使用を前提としています。この他のツールの研究はまだできていません
※Zoomを安全に使用するための管理方法などは公式サイトの情報を随時確認ください


目次

0.  リアルでのワークショップ運営やファシリテーションの経験があることを前提に
1.  オンラインワークショップのための準備
2.  当日、開場してからワークショップを始めるまで
3.  オリエンテーションの方法
4.  グループワークの方法ー固定グループ/ワールドカフェ
5.  振り返りの方法
6.  クロージングの方法
7.  オンラインならではのグランドルール設定


0.  リアルでのワークショップ運営やファシリテーションの経験があることを前提に

オンラインワークショップといえど、当たり前ですが、リアルでのワークショップ運営であったり、ファシリテーションの経験や知識がないと、オンラインワークショップは難しいです。というより、オンラインワークショップの方が何倍も難しいです。
一見、うまく話せていると思っても、安心安全性を維持できているか、参加者同士が双方向で話せているか、はリアルよりも把握がしづらいです。


1.  オンラインワークショップのための準備

●参加者数の設定について

私たちは実験的に「18名」でワークショップを行いましたが、12名〜16名が適当な気がします。というのは、「参加者が全員の顔と名前やバックグラウンドを知れる」という状態にするには、丁寧にチェックイン(自己紹介や今の気持ちの共有)をするためにはかなり時間がかかりますし、16名くらいから把握が仕切れない気がしています。
※ただし、これはどういうワークショップにするかによっても変わるので一概に言えません

●参加者集めは、「事前申し込み制」で

公開型にすると、主催者も知らない人がオンライン会場に入り、場を占拠するようなことも起こり得ます(Zoom爆弾とも言います)ので、必ず、事前の申し込み制にした上で、オンライン会場へのリンクとパスワードを設定・送付が必要です。
事前申し込みは、Googleフォームを使いましたが、事前に参加費を支払う、など、金銭が発生する場合は、peatixがすぐに設定ができてオススメです。

●当日を迎える前に「ウェルカムレター」を送りましょう


これはリアルなワークショップでも同様ですが、当日を迎えるのが楽しみになる、安心感を持てるように、「ウェルカムレター」をお送りするといいでしょう。
(ちなみに今回はあまり時間がなかったので、取り急ぎワードでささっとつくりました)

内容としては
・はじめにー参加してくださったことへの感謝、メッセージなど
・今回のワークショップの狙い、目的、問い
・オンラインワークショップの設定の仕方
・当日の流れ・タイムライン
・自分が食べたいお菓子や飲み物を準備してもらうこと
・席を外す際の注意事項(小グループの時は、席を外すことを伝える/ミュート状態にする)
・写真撮影・録画についての注意事項(どこまで公開されるのかなど)
・やり取りされる際の情報の取り扱いについて
・オンライン会場へのリンクやパスワード(パスワードは別に送った方が安全です)
・主催者名や当日のファシリテーター名
を1つのフォーマットとして、お伝えします。

●参加者のアクセスする際の環境へのアナウンスや配慮

雑音がする会場だと、ワークショップに影響が出ますので、「周りの雑音が入らない環境でアクセスしてください」と言ったアナウンスがあるといいかもしれません。また、スマホからアクセスするのか、PCからなのか、など、デバイスによっても参加の仕方が変わります。できれば、PCやタブレットの方が、全員の顔が比較的見えていいと思います。


2.  当日、開場してからワークショップを始めるまで

●ワークショップ開始30分前から会場はあけましょう

30分前から開場して、参加した方から順に声かけをしたり、お話ししたりして、話しやすい環境を少人数からつくることをお勧めします。いきなり集まってすぐにワークショップを始めると、緊張感が高まる気がします。
ただ、先に来た方で盛り上がりすぎてしまうと、後から来た方は「あ、もう話している・・・」と不安になってしまう可能性もあります。
そんなときこそファシリテーターの出番。「●●さん、こんにちはー。みなさん、●●さん入りましたー」「●●さん、音声聴きづらくないですか?」という声かけをしたり、あるいは、主催スタッフで分担して「来てくださった方へのフォロー」の担当を決めるなど、参加しやすい環境づくりをしましょう。これはリアルなワークショップでも同様です。

●使い方のレクチャーは定期的に

初めてオンラインで参加する方も多いと思いますので、ミュート機能の使い方であったり、音声や画質に問題がないか確認するなど、レクチャーは定期的に行うといいかもしれません。
とにかく、「はじめて参加する方の視点で丁寧に」を意識していただくといいと思います。

●画面上の名前の表示は「氏名」や「呼んでほしい名前」で

Zoomの場合、画面上での表示名が出てきます。デフォルトだと「●●のiPhone」など、デバイスの情報がのってしまいますので、ワークショップで名札をつくる要領で、表示名の更新をしていただくといいと思います。
(「表示されるから、ワークショップの時名前を呼びやすい」という感想もありました)


3.  オリエンテーションの方法

●画面共有を使いながら、リアルな場以上にじっくり丁寧に


まずは来て下さったことへの感謝から。そして、趣旨やねらい、ルールの共有をされると思いますが、口頭よりも画面共有などを使いながら、「視覚的にわかるように」してもらった方がいいと思います。Zoomであれば、自分の画面のパワーポイントやPDFを共有して、全員の画面に表示ができます。
また、いつもよりも「ゆっくり、はっきり、丁寧に」お話しすることを心がけましょう。
これは津屋崎ブランチの山口覚さんもおっしゃっていましたが、「ゆっくりと落ち着いて明瞭に話す」ことをファシリテーターは意識した方がいいかと思います。

●チェックインは、全員で実施し、名前を共有できた方がいい

「その場にいる人が誰か全員わかる」方が、オンラインという環境もあってか、安心できる気がします。なので、小グループに分かれて自己紹介する方法もありますが、ぜひ全員で自己紹介や今の気持ち/なぜ参加したかを共有することをオススメします。リアルなワークショップよりも多めに時間をかけましょう。

●オンラインでも話しやすい状況をつくるためにアクションを共有しようー「みんなであいづち」「拍手」

これがオンラインワークショップの特徴だと思いますが、「自分の発言していることを他の人は受け止めてくれているのか?」がオンラインだと非常に分かりづらいです。特にオンラインだと、自分が発言する以外はミュート状態にしたり、画面に顔を映しながら、別の作業をすることができてしまいます。実験したワークショップでも、「自己紹介中におそらく他の作業やSNSを見ている」という人が録画した映像を見ると多かったです。
そんな状況を少しでもよくするために、参加者全員で共通にしたいアクションを1つでもいいので、共有して決定することをオススメします。簡単なものだと「みんなであいづち」と「みんなで拍手」です。言葉の通りで、「発言している最中はあいづちを打とう」「発言が終わったら拍手をしよう」など、非言語の振る舞いで、話しやすい雰囲気づくりができると思います。


4.  グループワークの方法ー固定グループ/ワールドカフェ

●ブレイクアウトルームを活用しよう

Zoomでは「ブレイクアウトルーム」というツールがあり、参加者を自動で/手動でいくつかのグループに分けることができます。
この機能を使う際は「1グループ4人〜5人」が話しやすさでは適正だと、実際にやってみて思いました。
2人〜3人だと、「はなさなきゃ!」という緊張感が感じられやすく、6人以上だと「発言しづらい」と感じてしまうようです。

また、ホスト(Zoomを立ち上げている人)は、ブレイクアウトルーム中は、1つ1つの部屋に参加する、もしくはどこにも参加せずに全体セッションルームで待つ、しかできません。なので、それぞれのルームでどんな表情で参加しているか、どんな雰囲気か、を全体で察知することができません(これはファシリテーターとして非常に課題を感じます)。
なので、パトロールしながら介入していくか、各ルームにファシリテーターを設置していくことをオススメします。
全体へのアナウンスは、テキストベースで発信が可能です。(「あと3分です」「そろそろまとめに入りましょう!」など)



●アジェンダ(話し合ってもらいたいテーマ)と進め方は丁寧に伝えよう

上記のとおり、「ちょっと分からなかったら主催者に聴く」が簡単にできないので(ホストを呼び出すというツールもあるそうです)、ルームに分ける前に、アジェンダと進め方は全体で丁寧に共有しておきましょう。


●グループにファシリテーター役を設定すると安心して話せます

「それぞれのルームに入った参加者でファシリテーターを決める」ということもできますが、かなり心理的なハードルがリアルよりも高い気がします(なぜかはまだ不明です)。なので、事前に各ルームのファシリテーターやホスト役を決めておいた方がいいようです。
実験ワークショップでも、「ファシリテーターがいない/いる」の2パターンをやってみましたが、やはりいる場合の方が、話し合いに入りやすかったようです。


●「見える化」するためのツール、何を使うか?は十分に検討を

これはまだ結論が私たちも出せていませんが、話し合いを「見える化」するためのツールで何を使うか、はどんな場にしたいかに合わせて、十分検討をしていただいた方がいいです。言い換えれば、参加者にどう使ってもらうか、各ルームにファシリテーターを設定できるか、などから考えて、ツールを決めていただくといいと思います。
ちなみに、いくつか見える化の方法を列挙します。

①手元にA4の紙やホワイトボード、太いペンを準備して手書きをしながら、随時画面に見せる
(自分の画面上は反転しますが、他の参加者からは正しく見えますので安心してください)

②自分のPCのワードやパワーポイント、エクセルやメモ機能などを画面共有しながら、話し合う

③付箋を使いたい場合は、「miro」を使ってみる
https://miro.com
※オンライン上で付箋を使っての見える化などが可能です。英語なので使い方注意。


●グループワーク→全体で共有→グループワークなど、グループサイズは変えながら

リアルなワークショップと変わりませんが、グループサイズを変えたり、メンバーを入れ替えたり、全体で共有したりと、変化をつけながら促すと、参加者も様々な発見を持ちながら参加してもらえます。
ワールドカフェをする場合は、各ルームのホスト役を必ず1名決め、その1名以外でシャッフルして行います。Zoomの場合、手動で入れ替えなければならないので、部屋の入れ替えに時間がかかりますのでご注意ください。


5.  振り返りの方法

●「気づきの共有」は全体/小グループで

ワークショップで大切な気づきの共有、もちろん全体でやれるといいですが、時間の関係やねらいに合わせて、これも小グループでの実施がいいと思います。

●チャットツールなどで書いてもらってもいいかも

全体でやる場合、チャットツールなどを使って、「個人で考えて、まとまった方からチャットに打ち込んで共有してください」という形での気づきの共有もオススメです。
それをファシリテーターが読み上げながら共有するなどして、ワークショップの学びを収穫してもらいましょう。


6.  クロージングの方法

●時間がオーバーしてしまいそうなときは「抜けてもOK」アナウンスを

時間が過ぎる可能性がある場合、全体にアナウンスできるタイミングで「10分くらいオーバーするかもしれません。もし予定がある方は、お好きなタイミングで抜けてください」「チャットに一言書き込んでから抜けてください」など、抜けやすいようにアナウンスをしておくと、参加者も安心です。


●いきなり終わると、寂しい?!

オンライン特有ですが、「では終了します、さよならー」と言って終了すると、突然ワークショップが終わって喪失感があるとのことです。
なので、終了後も10分〜20分くらい、余談ができるようにしたりしながら、参加者が好きなタイミングで退席できるようにファシリテーター・ホストは待つようにしましょう。


●アンケート等は追ってメールに送信、などで対応

アンケートが必要な場合は、Googleフォームなどであらかじめアンケートを作成し、終わった後に参加者のアドレスにメールなどで送信できるようにしましょう。
アフターメールを事前に準備しておくと、スムーズに送信ができます。



ここまでワークショップの流れを元に、ポイントを解説させていただきました。
最後に、実験ワークショップ後の議論も踏まえながら、オンラインワークショップならではのグランドルールや配慮すべき点を共有します。


7.  オンラインならではのグランドルール設定

●参加者が好きなタイミングで画面OFFしてもいいことを伝えておく

「オンラインだとずっと見られている感があって疲れる」という声がありました。確かに、リアルなワークショップ以上に、「自分に視線が向けられている」という気がして疲れてしまいます。
なので、ぜひファシリテーターから「疲れたら、好きなタイミングで画面OFFにして、耳だけの参加などに切り替えてくださいね」ということを伝えていただくといいと思います。

●なるべく別の作業をしないように

オンラインだと、ほかの作業が自由にできてしまうので、参加される方にはぜひ、「おたがいに聴くこと・受け止めること」をお願いして、参加者同士で話しやすい環境を作れるようにしてもらうといいと思います。

●BGMをどうするか?

実はオンラインワークショップをやった際の悩みの1つが、ゆったりとした雰囲気をつくるためのBGMを適切な音量で流すことが難しい、ということです。流すことはできるのですが、入力の音を小さくすると自分の声も聞こえづらくなってしまいます。
PCを2台用意し、1つはBGM用、1つはファシリテーション用で分けるなど、対応が必要かもしれません。



以上、「ver1」ということで、発見を元に知見を共有させてもらいました。
少しでもお役に立てば幸いです!
「こんなことも大事かも!」というみなさんの発見があれば、ぜひ教えてください!



文責・この件のお問い合わせ:
天野浩史(NPO法人ESUNE 代表理事/大正大学地域構想研究所研究員)
info★s-esune.com(★を@に置き換えてください)

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